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8月31日

今日は、次女の誕生日である。
早いもので長女44歳、次女は41歳になる。
今は、学者の婿さんと二人の子供に囲まれて、忙しくもそれなりに幸せに暮らしている。

ただこの娘にも、非常につらい試練があった。
16年前、私が脚の手術で入院している時、車通勤を願い出て、朝晩病室に寄ってくれていた。
この時、長女は嫁いでおり、今年高1になった息子を育てていた。

母親の勘で、お付き合いをしている人がいるのは、何となく解っていた。
そのうち「退院したら紹介したい人がいるから、会ってね」と言うようになり、その日を心待ちにしていた。
交際相手は薬学部を卒業後、大阪にある製薬会社に勤務していた。
結婚したら、北海道で薬局を開業するという夢を持っていた。

私が67日の、入院を終えて退院した時は、もう桜が散っていた。
それからしばらくして、彼が春の健康診断で引っかかり、出身地である横浜の病院に、入院してしまった。
横浜の病院というだけで、どこの病院か教えてもらってなかった。

《スキルス性胃癌》の診断を受け、娘とはもう会わないと決心し、大阪を引き上げ横浜での入院だった。
娘は、土日病院を探しに、横浜へ通った。
横浜の大学病院で、医師になっている友人がいると聞いていたので、大学病院へ行ったりあちこちの病院を探し回った。

今ほど個人情報云々と厳しくなかった時代だが、彼の名前を言っても教えてもらえなかった。
後で解ったことだが、やはり最初に訪ねた病院に入院していた。
ケータイが流行りはじめた頃で、毎日のように留守電にメッセージを入れていた。
留守電は聞いているはずだが、一度も連絡はなかった。
それでも娘は、彼が退院したら結婚すると、言い張って聞かなかった。
そんなことを許せるはずもなく、親子で悶々と日は過ぎていった。

長女のところへ一緒に、孫の顔を見に行くと帰りに、玄関を出ると必ず涙ぐんだ。
車に乗ると泣きじゃくった。
そして25歳の誕生日は、何事もなく過ぎた。

9月の中頃になり、彼の妹さんと友人の医師から、訃報が入った。
こともあろうに、娘の25歳の誕生日に亡くなっていた。
気が狂ったように泣きわめく娘、何とか出勤はするが、娘も死んだようになってしまった。
精神的に不安定なのは、自分でも自覚しており、医者のお世話にもなった。

その年のクリスマスに娘のPCに、亡くなった彼からクリスマスカードが送られてきて、娘の心をかき乱した
そして次の年も・・・
生前に予約で、カードの手配をしていたらしいが、私は無性に腹が立った。
26歳という若さで、たくさんの未練を残しこの世を去らねばならぬ、無念は十分に解る。
しかし一度でも愛した彼女に、亡くなってからこんな接し方をされては、この先、娘はどうすればいいのか。
こんなことをするなら、きちんと事情を話して別れて欲しかった。
娘は立ち直って、今後の人生をやり直さねばならないのだ。
幸いにも、カードは3年目には届かなかった。


その後、婿さんと知り合い、2年間アメリカへ留学するので、一緒に行ってほしいと言われた。
もちろん亡くなった彼のことは話してある。
そして娘の中で処理出来ているなら、結婚しようと言ってくれOKした。


2人で、あちらのご両親に挨拶に伺うと、印を捺した婚姻届が用意されていたと、帰ってきて嬉しそうに話していた。
「大事な息子が、どんな娘を連れてくるか解らないのに、婚姻届を用意してくれるなんて・・・」と感激していた。
最初は、挙式をしないつもりだったが、お母さんの「結婚式は、お嫁さんのためのものだから・・・」の言葉で、急遽挙式を決めた。
その後、両家初顔合わせ、結納、挙式準備と、渡米までの短い期間に、色々忙しくも楽しそうにしていた。

そして29歳の誕生日の翌日、無事に結婚式を挙げたのだった。
挙式が誕生日の翌日ということで、私は娘に本当に大丈夫なのか、もうふっ切れたのか確認をした。
すると意外とさっぱり「いくら悲しんでも亡くなった人は戻ってこない、私にはこれからの長い人生がある、人並みに幸せになりたい」ときっぱり言い切ったので、ホッとしたのは言うまでもない。

アメリカでの新生活から、京都、埼玉と生活の場を移して、明日は12回目の結婚記念日を迎える。
年齢の割に、子どもがまだ小さいので、これからも元気で夫婦仲よく暮らしてほしいと願っている。



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コメント

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クリスマスカード

こんにちは

亡くなった方からの便りって、心がかき乱されますね。
今はアメリカで幸せに過ごされているとのこと。
いつまでも子どもさんの事は、気になりますね。
まずは、次女さんの41歳の誕生日、おめでとうございます

No title

人生色々 歌にもありますけれど
でも今が幸せで良かったですね
始めの方と結婚していたら?
益々のお幸せを

今はお幸せでよかった!

お嬢さんのお誕生日おめでとうございます。

最初は読んでいて、あまりの残酷な運命に涙が出ました。
相手の方も辛かったでしょう。
でも、何故カードが届いたかわかりませんが、やはり未練だったのでしょうか?

お嬢さんが立ち直って新たな幸せを見つけられ本当によかったです。

トラさん

何とも嫌な気分でしたよ。

アメリカからはとっくに戻っていまして、今は埼玉に住んでいます。

ありがとうございます。
娘が40歳を超えるなんて・・・
考えてなかったです(^_^;)

喜美さん

亡くなった彼とは、結婚をしようと言う話しは、二人の中でのことで、まだ両家の顔合わせも何もなかったので、親としては良かったです。

ホント人生色々ですね。

SOYOKAZEさん

PCからグリーティングカード送ったことありますか?今は90日以内の予約になっていますが、あのころは、たしか2年間予約できたと思います。
彼も若かったので、悔しかったと思います。

癌でだんだん弱っていく姿を、娘に見られたくなかったと、妹さんから聞いたそうです。」

No title

次女さん、遅ればせながらお誕生日
おめでとうございます。


今お幸せに暮らされて・・・
母としては嬉しい限りですね。
ドラマのような恋愛を経験した
お嬢さん・・・
辛い思い出でも豊かなこころを
授かったことと思います。


胸にじ~んと響きました。

秋桜さん

25歳で未亡人にならなくてよかったと、思っています。
亡くなってから、こんな接し方をされてはねえ。
幸い立ち直ることが出来て、人並みの幸せをつかみました。